He heard the slightest wrong note even in the largest combinations. As the greatest expert and judge of harmony, he liked best to play the viola, with appropriate loudness and softness. In his youth and until the approach of old age, he played the violin cleanly and penetratingly, and thus kept the orchestra in better order than he could have done with the harpsichord. He understood to perfection the possibilities of all stringed instruments.
(Hans T. David & Arthur Mendel, The Bach Reader p.277)
息子カール・フィリップ・エマニュエルが父ヨハン・セバスティアン・バッハについて手紙に書いているように、バッハがオーケストラや室内楽において演奏するのが最も好きだったのはバイオリンやチェロではなくヴィオラで、1703年にはバイオリン、ヴィオラ奏者としての職を得ている。この頃までは中低音を担う幾つかのヴィオラセクションがあった。スモール・ヴィオラ、ラージ・ヴィオラ、テノール・ヴィオラである。17世紀~18世紀と時代が進むにつれて、大型のテノール・ヴィオラなどは5パートから4パートへ音楽が変わっていく中で徐々に使用されなくなっていく。中低音を担っていたヴィオラ2と3のセクションが姿を消し、小さめのヴィオラを使うフレンチスタイルが主流となる。もしこの時に分厚いヴィオラセクションが全て残っていたとしたら、弓の進化の歴史にきっと大きな足跡をのこしていたに違いない。明らかにヴィオラの弓とわかるものがでてくるのはもっと後のこととなる。
小さいヴィオラ(普通のヴィオラ)を構える人達の横に大きなヴィオラを弾く人たちがいて、立って弾く者がいれば、ギターのように構えて弾く人達がいる、もしかするとそんな現在があったかもしれない。ヴィオラをめぐる妄想は尽きることがない。