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八百万の楽器と弓 Part-2



指で弦をはじくところから、弓を使い弦をこすって音を出すに至るまで、人類は数千年の時を要している。紀元前にその起源を遡ることの出来る撥弦楽器に比べ、弓奏を伴う擦弦楽器が生まれたのは10世紀と言われており歴史が浅い。中央アジアで生まれ、イスラム圏やビザンツ帝国に伝わり後にヨーロッパ各地へ拡がっていく。音楽学者のヴェルナー・バッハマンは中国の二胡などの名前の由来に着目し、イランの文化圏にあったサマルカンドを中心に栄えたソグディア(Sogdia)辺りで生まれたのではないかという。



10世紀にイスラム圏で書かれた文献では弦をもう一本の弦でこすったとあり、木や竹の棒で弦をこする古の楽器もあることから弓に馬毛を使うようになるのはもう少し後のことになるのだろう。薬練(松脂)を引いた武器の弓で撥弦楽器の弦をこすってみたら今まで聴いたことのないような音が出たというのがやはり弓奏の起源なのだろう。中世絵画や彫刻の特性上サイズ感は全くあてには出来ないが、11世紀になると美術工芸品に多くの弓を使い演奏している人物が現れるようになる。



参考文献:THE ORIGINS OF BOWING and the development of bowed instruments up to the thirteenth century:WERNER BACHMAN

画像:Joculatores.Miniature from the Mozarabic Romance Beatus manuscript, British Museum, London, Add. 11695, fol. 86. Originated in Santo Domingo de Silos, near Burgos, between 1073 and 1109. Miniatures completed by 1109.

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