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弓のかたち-角か丸か



弓の形として角弓か丸弓かというのがある。弓作りではスティックを八角で仕上げた後でどうにも重い場合、或いは強過ぎる時には角を落として丸弓にすることがあるが、途中で形を変更することは稀で、大抵削り始める前には角弓にするか丸弓にするかは決まっている。


古い弓では作られた場所や時代によって流行り廃りがある。フランスでは1750~1800年頃までは、トゥルト兄弟をはじめ職人達はフルーティングのある角弓か丸弓を多く作っており、1800年から1830年頃まではトゥルトやペルソワ、ゴーラといった職人たちが角弓を多く作った。1830年から1900年頃までは再び丸弓が主流となり、1900年から1960年頃までは1/3が角弓であったという。個人的に角弓では1800年から1830年頃に作られた弓が好きで、丸弓では1870年頃までの物が好きだ。


一般的なイメージにあるように角弓だから強くてガチガチということではなく、丸弓であってもそのような弓はあるし、角弓であってもフレキシブルな弓は存在する。単純に弓に重りを提げて測る縦方向の荷重測定では双方に大した違いは見られないが、やはり演奏性に違いはある。時代によって角弓、丸弓の好みが違うというのは当時の演奏に影響されてそのようになった筈で、当時活躍していた音楽家と併せて考えると面白い。



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