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フロッグの高さについて


I would want the bow either to be straight, or to be low at the frog and high at the point. This can be achieved by introducing a small amount of curve toward the point. A bow thus constructed has the same strength at the point as at the heel, which seems to me a very considerable advantage.  (Elementi teorico-practici de musica 英語版より)


1791年にトランジショナルボウについてバイオリニストで、教師でもあったフランチェスコ・ガレアッツィ(Francesco Galeazzi)が記した一文である。トランジショナル期といっても1770年頃から1830年頃までバロックボウやモダンボウと平行して様々な弓が作られている。初期のものは張った状態でストレートになるように調整されており、中期のものは先端に反りが入り、後期のトゥルト兄弟が作ったものはほぼモダンボウと同じようにフルカーブのものがある。素材もスネークウッドのほっそりとした弓からペルナンブーコの太いものに変わり、モダンボウに比べやや短いものが多い。またトランジショナルボウでは極端にフロッグが低いものが流行った時期があり、当時のものが今も色々と遺っている。形状を真似て作ってみたが、普段のように反りをフルで入れてもうまいこと機能しない。やはりガレアッツィの言うように先端にちょこっと反りを入れるのがどうやら正解らしい。これは一体何だろうとかねてより思っていたが、ガレアッツィの遺したものを読むと反り形状やフロッグ、ヘッドの高さを色々試していたことが分かって面白い。最近ではカナダの弓職人であるエリック・ガニェがヘッドを高く、フロッグを低くした弓を作っていると思う。ビオラ、コントラバスやチェロでもヘッドに対し低いフロッグを付けて演奏する人がいて、自分の経験では演奏者の身体に対して楽器のサイズが大きい場合に運弓をする上で有効なのではないかと思う。楽器の大きさを感じて運弓がうまいこといかない場合には短めの弓を使ったり、ヘッドに対して低めのフロッグに替えてみるのも良いのかもしれない。



今でも弦メーカーは張力の強い新作の弦を次々と発表しているので、我々の知るところの楽器のセットアップの基準はいつか変わるだろうと言われている。弓でも流行りは移ろうものであり昨今の材料事情もあって、色々な人があちらこちらで可能性を探っている。いつか劇的にものごとが変わることもあり得るのではないか。

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