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日本のパウ・ブラジル



日本の植物園にはパウ・ブラジルを育てているところがあり、実際に見に行くとかなりの樹高のものが生えている。1本や2本ではなく、4~5本無造作に生えていたりするのだ。マメ科の植物は生命力が強い為、帰化するものが多くあることや温暖化している状況を考えると、きっと難なく温室の外でも増えていくことを想像する。細い樹形のものは見た感じは幹に生えている棘が太い他は、日本の河原によく生えているカワラフジ(ジャケツイバラ)そのもので、かつて中国から渡来し日本の風景になじんでいるこの木と何ら変わりがない。



日本の風景に押し込むつもりは勿論ないが、音楽関係者の庭先に「未来への責任」とでも言って1本ずつぐらい植えておくべきではないかと思う。高く大きく育つのである程度の空間が必要だ。通常枝から水耕栽培で根をだして増やしていくやり方が一般的だが、鹿児島にはイペを育てる傍らパウ・ブラジルを種から育てた方がいた。残念ながらもうこの木の栽培はしておられないとのことだが、日本の土で芽を出してある程度の大きさまで育つことをこの方は証明された。



日本の露地栽培でパウ・ブラジルを育てるにあたりネックとなるのが台風である。アメリカのフロリダにはパウ・ブラジルを育てていた施設が2000年代初頭まであったらしいが、ハリケーンでやられてしまったという。一見直接的な被害がなくとも、幹に強風を受けると木の内部で繊維が断裂してウィンドチェックという隠れたヒビとなるので、植樹する場所は風を避けられる場所が好ましい。メープルやスプルースは寒冷環境が必要なので日本での栽培には適していないと言われており、特にメープルは楽器に必要なサイズになるまで数百年かかるので昨今の猛暑を考えるとその頃に日本は熱帯になっているのだろう。パウ・ブラジルやエボニー、ローズウッドのほうがまだ可能性があるのではないか。   


欧米主導で様々な規制がかかり、物事が決まっていく状況を眺めつつ何か別の在り様があっても良いのではないかと思う。


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