top of page

フロッグ修理について



長年の使用により艶がなくなってしまったフロッグの黒檀や鼈甲は、オイル磨きをするとかつての艶を取り戻すことが出来る。スウィート・アーモンドオイルなどのナッツオイルを使うか、黒檀であればパラフィンオイルを使う人もいる。その上で黒棒などのコンパウンドを染み込ませたセーム革で磨くと輝きが増す。昔の古い弓に使われていた黒檀の多くはマダガスカル産で、目が緻密で深い黒色が特徴である。マダガスカル産はワシントン条約で規制されており、古いストックを持っているところ以外から出てくることは滅多にない。市場に今出てくるものの多くはカメルーン産のものかインド原産のもの、そして東南アジアの縞黒檀、或いは別種のアフリカン・ブラックウッドである。国内でまだ見ることができる東南アジア原産の青黒檀はフロッグの材料として良いものだと思う。緻密で仕上がり具合はマダガスカル産とほぼ変わらないが仕上がりは重量的に少しだけ重たくなるので、バランスなどをみて使い分けると良いだろう。欠けなどで新たに黒檀を接ぐ場合にはなるべく同じ種を使うべきだが、黒檀の規制が叫ばれて久しく、次は黒檀だと言われている。ギターやバイオリンなど様々な楽器で影響が出るので、良い指板材やフィッティングなどを見つけたら迷わずに買っておくべきだし、ちょっとした修理用に小さな材料も規制を見据えてストックしておきたいものだ。


ぶつけたりして黒檀が欠けてしまった場合、新たな黒檀を接いで成形するか僅かな欠けであれば樹脂で埋めても良い。フロッグのぐらつきを放置しているとアンダースライドの際からヒビが入りそれが進行すると割れて黒檀が欠損するので、ヒビを見つけたら早めに直しておくべきだ。経年変化でスティックのネジ穴が拡がる、或いはオネジ交換をした際に径の小さなオネジに交換してしまった、長年の使用によって親指でスティックを掘りこんでしまいスティックの形が変わりフロッグが合わなくなったなどフロッグのぐらつきが原因でフロッグにヒビが入る場合には必ず原因があるので、それを併せて修理しておくと良い。


フロッグのフルールを嵌めるタングが折れてそれを再生する修理もよくあることの一つだ。折れた場合にはフロッグのモーティス付近まで内部をくり抜き、円筒を半分に割ったような材料を奥まで差し込んで成形する。力のかかる部分なのでこのようにしないと接いでもまた折れてしまうのだ。



縦や横にヒビが入りフロッグが割れることもある。縦にヒビが入る場合、アンダースライドを固定する為の鉄の皿ネジが錆びで膨張して黒檀を割ってしまうことがある。

錆が膨張してフロッグが縦に割れた場合、センターで思い切って切り離し、傷んでいる箇所を削り取って真ん中に新たな材を挟んで接着、成形すると良い。ギョッとするかもしれないが、トゥルトやシュワルツの鼈甲フロッグには黒檀の板が中央に挟んである。過去には似たようなことをした人がいるわけであって、何てことはない。


パールアイが交換できないほど黒檀が薄くなってしまったフロッグにも同様の方法で、一旦フロッグを切り離してセンターに黒檀板を足しても良いと思う。横に亀裂が入って割れる場合に多くあるのはフロッグのパールアイの箇所で割れるもので、この箇所がフロッグで最も薄くなっていることが原因である。割れた箇所を接着し、中央に切り込みを入れて新たな材をセンターに入れて補強すると良い。





bottom of page