”Connecting cultural heritage and environmental sustainability, Daniel Neves discusses a proposal to include Pernambuco in Appendix I of CITES, a change that would significantly impact the global trade of this essential wood.
In addition to insights gained from Brazil’s environmental bodies, a recent visit to a fair in China exposed me to a disheartening scene: dozens of stands shamelessly selling Pernambuco wood bows and logs. Witnessing such a blatant disregard for the restrictions and regulations we strive to enforce in Brazil is profoundly troubling. The realization that Brazilian wood is being smuggled beyond China to European buyers exacerbates this concern. ”
―The Pernambuco wood dilemma: a call for global responsibility and unity The Strad 18 April 2024
万が一ペルナンブーコが象牙と同じ扱いになったらどうなるか。値段が上がるという人が多くいるが、たいして上がらないか長期的にはむしろ下がるのではないかと個人的には思う。売買や投機の対象にならなくなるからである。今の象牙の扱いを見ればなんとなく想像がつくだろう。アンティークである証明が出来れば問題はない。象牙は現在認可を得て一定の料金を払った限られた業者しか扱うことは出来ず、新規に個人で購入する場合には、個人で所有して楽しむ分には許可されているものの「誰々が何グラム買って持っていますよ」と報告する義務があり、内訳を記した紙が購入の度に付いてくるのである。一般的に新規の象牙製品は敬遠されるようになっており、相対的にマンモス象牙などの価値は上がる。ペルナンブーコであることがリスクになるなんてことがないことを願うのみである。
上記の英文は4月のStrad誌オンライン記事からの抜粋である。もとの記事はDaniel Neves というブラジル音楽業界団体で要職にある方が書いたものだ。彼が中国のフェアで見たというペルナンブーコの弓や弓材が本物のペルナンブーコであったのかは定かではないが、実際に中国で使われている材料の大半は亜種のサッパンやプラティローバである筈で、問題はそれをペルナンブーコだと言って売っていることではないだろうか(勿論本物のペルナンブーコも相当数大陸に入っている筈だが)。これらの弓は日本にも多く流通しているが、ブラジルではこれを根拠にペルナンブーコをCITESカテゴリー1にしようと働きかけをしている人達がいるわけで、目で見たものをちゃんとした調査もせずに拙速にカテゴリー1に上げる為のネタにされてはたまったものではない。販売元も消費者もペルナンブーコではなく亜種であるときちんと言うべきだという理由はここにある。Strad誌の記事で訴えているように国際的な枠組みをもって事に当たらなければならないのはその通りであって、中国とブラジルで何が起こっているのかもっときちんと調査をしなければならない。IBAMAの問題点も記事では指摘している。IBAMAは規制をする機関であって植樹や持続可能な資源利用を担う機関がブラジルには存在しない。対岸の火事ではなく、我々にも消費者としての責任と自覚を持つべき時がきている筈だ。