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小さなバイオリンについて



出典:The violin piccolo and other small violins/Margaret Downie Bank

バイオリン属は突如として完全な形で生まれたとよく言われるが、実際には長い時間をかけて今の形に落ち着いている。草創期には3弦であったこともあったし、ネックの長さもセットアップも楽器のサイズや編成も様々であった。ヴィオラにかつて異なるサイズの楽器があったようにバイオリンにも幾つかのサイズの楽器があって、共に高音域を担っていたという。18世紀中頃まではそうした楽器が普通に巷にあったというから、地域ごとに細かくセットアップがどうであったか見ていくと面白いかもしれない。ヴィオリーノ・ピッコロが存在した楽団ではフルサイズのバイオリンの指板は短かったわけで、弦楽セクションから聴こえてくる音もより明るくオープンなものであっただろう。音楽が古のパレストリーナやジョスカンへ続くというのは頭ではわかっていても、自分の中にはその質感のようなものがない。ただルネサンス期の人々がボーカルパートをそのまま楽器に置き換えていったことを考えると自分にはイメージがし易い。このルネサンス期の名残が18世紀、レオポルト・モーツァルトの時代ぐらいまで続いていたことが不思議であり面白い。新潟の中林さんがヴィオリーノ・ピッコロの製作に取り組んでいる。どのようなものになるのかとても楽しみである。




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